海外販路開拓:対外直接投資について

海外販路開拓と言っても形はそれぞれで、自社製品・サービスをECサイトなどで販売・提供する方法、自社工場・オフィスを実際に海外で建設し、現地人を雇っての経営方法等があります。今回は海外販路開拓に役立つ知識として知っておきたい「対外直接投資」について見ていきましょう。

直接投資とは

まず直接投資の定義をおさらいします。直接投資とは、外国の企業に対し、永続的な権益を取得することを目的に行われる投資の事を指します。直接投資は大きく二つに分けられており、海外から日本への「対日直接投資」と日本国内から海外へ向けた「対外直接投資」があります。経済産業省によると、具体的な対外直接投資の定義として「外国企業の株式所有率が10%以上の場合」「出資率が10%以上の外国子会社の株式取得、又は金銭の貸し付けを行っている場合」「役員の派遣、長期的な原材料等の供給が行われている外国子会社の株式取得、又は金銭の貸し付けを行っている場合」「外国の支店、工場等の設置・拡張の資金支払い」の4つが挙げられています。

世界の動き

次に対外直接投資の現状を見てみましょう。JETROが行った「2013年版世界貿易投資報告」によると、世界の直接投資額は2008年に19.6兆円の過去最高額までに達しましたが、同年に起こったリーマン・ショックの影響で世界経済が停滞し、国際金融市場が混乱した為、2009年から2010年には減少しました。しかし2011年には再び増加に転じ17.1兆円まで回復し、2012年から現在にかけては欧州債務危機と新興国の成長鈍化の影響により世界貿易・投資は横ばい状態です。

日本では加速傾向に

一方で日本の対外直接投資は2年連続で増加し、前年の2012年と比べると12.5%の増加で1224億ドルとなっており、日本企業の対ASEAN投資が2013年に入って加速しているのが分かります。

更にJETROによると、潜在力が大きいと思われる新興・途上国全体の消費市場の規模は日本の約3.7倍にもなっているにも関わらず、耐久財の普及率は依然低いので、日本企業にとって市場開拓のチャンスと言えます。対外直接投資は資本金を豊富に持つ大企業だけでなく、海外への販路開拓に意欲的な中小企業にとっても有効な海外展開の一手と言えるかもしれません。