日本の技術は海外で必要とされているのか?〜インドの場合

先日、インドで長年日系企業向けにコンサルティングをされている方のセミナーに参加してきました。その時に印象的だったことをお伝えします。

めざましい経済発展を続けるインド

ドバイや上海然り、この数十年新興国都市は著しい変化を遂げています。人口12億、国の面積が日本の約9倍といわれるインドでも消費市場は特にこの10年右肩上がりで、インドに進出する日本企業の数は2013年に1,000社を超えました。

特に携帯電話加入数は9億8千万台に上り、都市部ではほぼ1人1台が持っている計算になります。一昔前までは電話ボックスやご近所さんの家にある電話を使用していたため、個人が携帯電話を持つことによって、より気軽に自分が感じたことを伝えられるようになりました。例えばテレビを買ったようなことでも遠く離れた親戚や家族に伝えるため、受け手はそれなら自分もテレビを買おう、とお互いの購買意欲を刺激し合うような側面も携帯電話の普及は担っているようです。

変化するインド・変化しないインド

国土の広いインドは北部と南部で人種、言葉、文化、気候が全く異なるため、以前は都市ごとに活躍する企業やブランドも違っていました。しかしこの5~6年のショッピングモールブームにより、さまざまな外資系チェーン店やブランドが広まり、全国の都市で同じ店舗や商品を見かけることが増えてきました。そしてハイエンドの外資系ブランドも同様にインド国内で広まってきたため、世界的に有名な携帯電話や高級車等の人気がインドの富裕層内でも年々高まってきています。一方、田舎の農村部では電気のない生活が続く地域や、都市部でも巨大なスラム街が残っている所もあり、経済格差は二極化しているとも言えます。

関心を持たれていない日本製品?

セミナー後にある方が質問しました。「インドの富裕層は日本の技術や文化をどう思っているのか?」
正直なところ、あまり気にしていないそうです。インドは親日国と言われていますが、それは日本を好きなのではなく、嫌いではないということです。「日本についてどう思う?」とインド人に尋ねると、「技術力が高い」という答えが返ってきます。しかし「どこの商品がほしい?」と訊いて、「日本製」とはほとんどが答えないそうです。嫌いではないし、ネガティブには思っていない。これが実際のインドの人たちの日本製品に対する感想です。
もちろん、この回答は緻密な統計を取ったわけではなく、回答者の主観も含まれているとは思いますが、実際に長年インドにいて肌で感じた事実の一つであるのは間違いありません。海外販売をお考えの企業様にとって、商品の技術や価値をいかに伝えていくかは課題の一つであると言えるでしょう。

インドに限らず、日本の技術力や品質の高さは世界中で定評があります。ここにプラスして商品に注目・関心を持ってもらい、価値を理解してもらうことが海外販売成功への鍵です。御社にとって海外販路開拓へどのような方法があるのか、ご検討されている方はお気軽にアルチエまでお問い合わせください。