日系企業・海外販路開拓先TOP5

東洋経済が実施した「第42回 海外事業活動基本調査概要」によると、2012年時点での現地法人従業員数は過去最高となる 523 万人となり、前年度 499 万人より 4.7%上回っています。この事から、国内企業の海外展開に関する動きは年々活発になっている事がわかります。もう他人事ではない海外進出を始めるにあたってまず始めの疑問点は、一体どの国に何を売ればよいのかという点です。

海外展開先、1位は中国

同じく東洋経済による2013年度『海外進出企業総覧』から抜粋すると日系企業進出先第1位は中国、2位アメリカ、3位タイ、4位香港、5位シンガポールとなっています。海外進出済みの企業25,204社の内の6,091件、全体の24.2%が中国へ、全体の13.4%にあたる2,276件の企業がアメリカへ進出していました。3位から5位を見ると、タイへの進出は全体の7.4%で1,853件、香港は4.6%で1,220件、5位のシンガポールは全体の4,4%で1,111社でした。

近年はASEAN諸国へ

未だ中国への進出が多いのは事実ですが、日系企業が海外展開する先として、中国以外の東南アジア地域を選ぶ企業が年々増加しています。これまでの中国に偏った海外進出から、中国リスクを回避しようという動きが顕在化したことで、改めてASEAN(東南アジア諸国連合) を進出先に選ぶ企業が増えているようです。

先進国から新興国へ

日系企業海外展開の全体的な傾向として、先進国から新興国への進出先のシフトが予測されます。同時に株式会社イプロス(海外販路開拓支援企業)が行った「製造業の海外営業・販促に関する調査」では、アジア諸国への進出を注力している日本企業の内、自社のホームページなどを販促に活用できているのはわずか3割で、アジア地域での販促活動の現状に満足している企業は全体のたった2割強という結果が出ています。これらの結果からわかるように、アジア諸国で事業拡大・販促活動を行う日系企業が増えてゆく一方で、多言語ホームページを上手く利用できず、販路活動の促進に悩む企業が多いのが特徴です。これらの悩みを解決し、利益を効率良くあげる為にもインターネットの賢い活用方法を学び活用していく事が必要ではないでしょうか。

海外における販路開拓の課題3つ

中小企業が海外進出を始める際、クリアしなければいけない課題や満たすべき条件があります。今回は海外進出するにあたって障壁となる条件について、中小企業庁が行った「海外展開による中小企業の競争力向上に関する調査」を元に詳しく見ていきたいと思います。

海外での新規顧客開拓に向けた販売先の確保

中小企業が輸出を開始するために必要な条件として、5割を超える企業が、「販売先を確保していること」、「信頼できるパートナーがいること」を挙げており、販売先に関する事柄が重視されています。信頼できる販売先やパートナーを確保する事、海外でビジネスを始める際の絶対条件と言えます。信頼関係をしっかり築くためにも相手とのコミュニケ―ションを円滑に進め、相違のないように心がける事が大切です。特に日本人特有の「曖昧な表現」や「婉曲的な表現」によって起こるトラブルに気を付けなければなりません。

販路開拓先への事情精通

販売先の確保と同じく重要視されているのが「輸出先の法制度や商慣習の知識があること」、「輸出先の市場動向についての知識があること」、「輸出に詳しい人材を社内に確保していること」等という、輸出先や輸出業務に関する知見の有無です。海外へ自社商品を販売する際に、その商品が売れるのか否かは海外進出にとっての要となります。現地市場や商法をきちんと把握し、現地のニーズに合った商品を売り出していく事が必要です。その為にも販売先のマーケティング調査は海外での販路開拓において必須と言えます。

現地での品質管理

実際に海外拠点を保有する日系企業の持つ課題として最も多く挙げられるのは「現地における品質の管理」です。日本と異なる言語・文化を持つ海外での品質管理は日本以上に気を使わなければならに項目として認識されています。ちょっとしたミスコミュニケーションや考えの相違によって顧客に提供する商品に影響が出てしまう場合があるので、言語に精通した人材による海外拠点の徹底した管理が必要となります。

「メイドインジャパン」のブランド力の今

日本国内には大手企業様だけでなく、中小企業様の中にも海外への新規顧客開拓を狙う企業様が増えているのではないでしょうか。
その中で「メイドインジャパン」ブランドは、マーケティングの上で有効な武器になります。

コストパフォーマンス

メイドインジャパンブランドをコストパフォーマンスの面で評価している海外企業様は、日本企業様が考えている以上に多いです。例えば、日本は自動車の製造で有名な国ですが、新車だけでなく中古車の輸出も市場規模として大きいです。ロシアやアフリカ、中南米諸国でのニーズはとても高く、コストパフォーマンスという点で、ジャパンブランドを武器に新規顧客開拓展開する余地がある市場と言われています。

デザイン

日本でお馴染みのデザインは、「メイドインジャパン」ブランドとして海外で好まれるものも多いです。例えば、原宿の青文字系ファッションは、「cawaii」アイテムとしてフランスやアメリカを中心に受け入れられています。また、東南アジア諸国では、JRから払い下げられた日本の鉄道車両がコストパフォーマンスだけでなく、デザインの点でも人気を集めています。東京の山手線から引退した車両をジャカルタやヤンゴンで見かけることもあり、日本の鉄道ファンの旅行先としても注目されています。

多様なライフスタイルへの対応力

「メイドインジャパン」の良さは、時に伝え辛いという評価を受けます。でも、世界の様々な国で全く違うライフスタイルへの対応ができる製品として注目を集めるものも出始めています。例えば、今治タオルは手触りの心地良さといった品質面でブランド力のあるアイテムです。

その手触りの良さは、どの国の日常生活でも違和感やストレスをかけないものです。海外デザイナーとコラボしたものも多く、メイドインジャパンブランドの良さとして新規顧客開拓の強みになるのではないでしょうか。