海外販路開拓におけるグローバル人材育成とは

海外展開するにあたってよく耳にする「グローバル人材の育成」というフレーズ。実際にグローバルな人材とは一体何を指すのか、なぜグローバル人材の育成が必要なのか、について見ていきます。

グローバル人材=語学のできる人?

グローバル人材とは何か、始めに思い浮かぶのは「語学力」でしょう。では語学力があればグローバル人材なのでしょうか?決してそうではありません。RUSSELL ERYNOLDS ASSOCIATESによるとグローバル人材とは「異文化を理解する能力」と「異文化とコミュニケーションし影響力を及ぼす能力」を有する人材を指します。

グローバル人材に必要な6つの要素

では具体的にそれらの能力について見ていきたいと思います。同サイトによると、「異文化を理解する能力」は「グローバル英語力」、自分から課題を見つけ目標に向けて取り組んでいく「セルフスターター」、型にはまらない思考と行動の「柔軟性」。「異文化とコミュニケーションし影響を及ぼす能力」はロジカルに思考プロセスを組み立てる事ができる「コミュニケーション能力」、これだけは誰にも負けないと胸を張って言える得意分野を持つ「スペシャリスト」、個人の経験とスキルを会社の収益と成長に結びつける事のできる「事業構想力」。これら6つのキーワードから成り立っています。

グローバル人材の必要性

次に、なぜ日本にグローバル人材が必要なのか、育成の必要性について見ていきます。経済産業省の「グローバル人材育成委員会 議事概要」によると、日本経済は日本の縮小した市場に代わり、海外の高成長が期待されるグローバルマーケットに出ていく必要があります。世界に進出するためには海外とのやり取りが不可欠となります、そしてそれを担っていく人材が「グローバル人材」です。ここで勘違いしてはならないのは、英語を話す事が出来るから「グローバル人材」なのではなく、英語という「ツール」を利用して他の事を考え、他人に伝える能力が必要となります。個々人の取り柄を活かしたグローバル人材育成が今後の海外販路開拓の要となります。

グローバル人材に必要な3つの能力とは

海外展開時に大きな課題となるのが、「人材」についてです。実際にJETRO等の調査でも多くの企業様が海外人材の不足が課題と回答されています。しかし、海外人材、グローバル人材に必要なスキルはいったいなんでしょうか。海外業務を主とする自社に置き換えてこんな人材が欲しいという事を3つに絞って考えてみようと思います。

コミュニケーション能力

先ず必須になるのコミュニケーション能力です。あえて、語学力と言わず、コミュニケーション能力という言葉を使いたいと思います。自社の場合、メールや電話も海外から直接英語でかかってくる事が多々あります。もちろんそうで無ければ事業が成り立ちませんので。。さてその際を考えてみると語学力は必須です。海外からのお客様の対応に際しいちいち通訳や翻訳会社を挟むことは考えられません。ただし、語学力とは最低限の力で有り、お客様の要望や交渉時の駆け引きは語学力だけでは勿論戦えません。商習慣、文化、言語の違う者同士が以下に共通理解を得るか。その事に注力し、会話の中で解を導き出せるようなコミュニケーション能力が重要だと思います。その点で、先ず必須なのがコミュニケーション能力です。

推進力

次に、推進力という能力を挙げたいと思います。海外ビジネスを行う上で、日本国内のやり方、考え方をそのまま踏襲して案件を進めていけることはほとんどありません。これは国内ビジネスでも同じ事かも知れませんが、やはりそれぞれに違いが産まれ、その違いを乗り越えて案件を進めて行くことになります。海外の場合スピード感や、そもそもの商談プロセス、例えば日本で言う稟議などがなかったりします。要は違いが大きい場合が多いのです。この違いを全て受け入れる、と言うわけでは無く、こちらの言い分もキッチリと伝えた上で折り合いを付けながら前へ前へと案件を進められるような推進力が必要かと思います

タフネス

最後はなんと言ってもタフネス。こちらは肉体的なタフさとメンタル的なタフさの両方を指しています。海外出張などで長期移動をするとそれだけで体力は奪われますし、時差、気候、食事など違う地で過ごし、商談やミーティングをこなす必要があります。これは体力的なタフネスが必要です。体を慣らすために1日、2日と休みが取れる状況なら良いですが、そうで無い状況の方が多いのが事実です。また、海外出張に2人、3人と人を送ることは費用的にも様みますので、出来るだけ1人で行かせるようにします。違いの多い国でも自分のメンタルをしっかりと保ちすべきことが出来るメンタルタフネスも必要な能力です。

業種、業界によって一重に海外人材やグローバル人材と行っても定義は様々かと思います。ただ漠然と人材がいないというのでは無く、どのような能力が自社の海外展開には必要かを再度確認し、定義してみてはどうでしょうか。それでも尚、人材獲得は難しいものです。そのような際は、アウトソーシングが出来るような企業と手を組み海外展開を考えてみるのも良い選択肢としてお考え頂ければと思います。